突き詰めた合理性から滲む優しさが気持ちいい 〜岩田さん

2021年2月4日木曜日

ノンフィクション、経営者 読書

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岩田さん: 岩田聡はこんなことを話していた。 (ほぼ日ブックス)
あまり偉人の伝記やノンフィクションものは好みではない。大体はポジショントークになってしまうからだ。エンタメとして読むならいいが、それなら小説でいいという考え方だ。
ただ
読書ブログを始めた事を機にアウトプットを見据えた読書が出来るのもまた面白いなと思い直し、今後は興味が湧いた人物の伝記を読んでいこうと考えている。

本書は、故人であり任天堂社長だった岩田聡氏こと岩田さんの生前の発言をまとめたものだ。
実は本書の内容はネットを探せば基本的に無料で読める。任天堂のホームページなどで簡単に見つかるはずなので興味のある人は読んでみてほしい。

社長がクリエイターにインタビュー形式でソフトの見どころや開発の逸話を引き出す「社長が訊く」が好きでよく読んでいた。
社長らしからぬ開発者に目線を合わせるフランクな態度と、確かな洞察力、そして相手に語りたい事を語らせる技術に只者ではないと感じていたのだが、
その魅力は口先だけではない優しい視点と、
それを実現させる合理的な思考回路にあると思っていた。優しいけどそれが情から来ているのではなく噛み合った三方よしを実現する思考力と分析していて、それがどう言ったルーツから来ているのか気になっていたのだ。
というわけでいい機会なので本書を読んでみたわけだ。

西武百貨店に初めて出来た常設のPCコーナーにプログラムをするためにたむろしているうちに、店員が独立して立ち上げたHAL研に流れるように入社するというエピソードから取締役に就任するまで本人の言葉で語られているが、全く嫌味なく納得出来る内容だった。特に詳しく過程が語られているわけではないのだがその語りを聞いていると不思議と納得してしまうというか、人の上に立つ人物はやはり違うなと思わされる。
特に一発逆転があったわけではなく、必要とされたから自然とそうなった、という事なんだろう。

とにかく合理的に人を喜ばせる事を考え続けた人なんだろう。とにかく“合理的な正解”がたくさん書いてある。金言だらけだ。この社長の下で仕事ができた社員は幸せだったろう。

その中で特に染みた言葉を引用して筆を置こう。

ーーつまり、才能とは「ご褒美を見つけられる能力」のことなんじゃないだろうかと。
「なしとげること」よりも、「なしとげたことに対して快感を感じられること」が才能なんじゃないかと思うんですよね。
いってみれば、ご褒美を見つけられる、「ご褒美発見回路」のようなものが開いている人。

ーーそういうときに、自分が注ぎ込んだ苦労やエネルギーよりも、ご褒美の方が大きいと感じたら、人はそれをやめない。だけど、返ってきたご褒美に対して、見返りが合わないと感じたときに、人は挫折する。

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