文庫版全4巻中の1巻目。
どっしりとした読み応えのある小説かと思いきやエンターテイメント寄り。
海賊や時代もの特有の知らない単語を調べながら読んだので時間は掛かったが、するすると読めた。
登場人物は主人公の景(きょう)を除いて実在の人物で、村上水軍が関わった第一次木津川口の戦いを下敷きにしている。
架空の人物・村上景を中心に織田軍vs大坂本願寺の戦いを描く。
兵糧攻めにあう本願寺から兵糧入れの支援を請われた毛利軍。大量の兵糧を運ぶ為の虎の子として協力を取り付けたのが瀬戸を縄張りとする村上海賊。景はその一族の姫である。
文庫版第1巻では丁寧な導入から景の生き様を描きつつ、一通りの人物紹介が済み、話が本格的に動き出す。というところまで。
まだ導入部なので特別面白い、という程ではないが村上水軍という題材は興味深くて読みやすい。盛り上がるシーンまでは読んでみたいので2巻までは読書予定。
戦況の動きや登場人物の行動などは史実を元に構成している様で度々参考文献がナレーター的に入ってくるのが映画風な演出。
ただ人物造形に関してはキャラ萌え寄りで、かなりデフォルメされている。悪い方の意味で邦画っぽいというか。
キャラ造形としてはむしろ漫画的で実際コミカライズされており、すでに完結している。
少しチェックしてみたが景のデザインが普通の美人だったので受け入れられなかった。
主人公の景は地の文でたびたび醜女と説明されるが、それは当時の日本の美的感覚によるもの。実際には目鼻立ちのくっきりした北欧系のハーフ顔だと描写されている。漫画では至って現代感覚での美人な日本人という感じだった。
映画化の噂もあるみたいだが、実際のところ景のビジュアルが一番映えるのはアニメだと思う。
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