コーエー黎明期の逸話がハンパない 〜ゲームの企画書①

2020年6月5日金曜日

読書

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電ファミニコゲーマーは個人的によく読んでいるメディア。
その編集部の紙媒体での記事という事で内容の下調べもそこそこに読んでみました。
ゲームの企画書(1) どんな子供でも遊べなければならない (角川新書)

概要

全部で4つのインタビューで構成。

ゼビウス
桃鉄
不思議のダンジョン
コーエー史


短い本ながら4つのみで構成されているため、1本あたりのインタビューのボリュームはかなり多い。内容もかなり濃い。
企画のコンセプトとして座組の面白さに重きを置いているとのこと。

特に面白かったのは創設者の襟川夫妻によるコーエー史インタビュー。


コーエー創業秘話

社長のペンネームがプロデューサーのシブサワ・コウは社長のペンネームである事はコーエーのタイトルが好きなゲーマーには知られているだろう。プロデュースという肩書きからビジネスマンのイメージが強かったがインタビュー内容から窺い知れるのは生粋のクリエーターの姿だったのが非常に意外。
またシブサワ・コウの由来が知れたのも良かった。(語感がずっと気になってたので)

コーエーはもともと家業の紡績業からスタートし、マイコンの可能性の惚れ込んだ社長がプログラムを1から習得し発展させてきた。
今のコーエーのスタイルを確固たるものにした歴史シミュレーションは趣味で作ったゲームが元だというから驚きだ。

また一方で現会長の襟川恵子氏のインパクトも凄い。元々学生時代からビジネスを経験していたということもあり、会社黎明期から広報や資産運用に幅広く携わっていたとの事で、数々の強烈なエピソードが飛び出してくる。やり手のビジネスウーマンで正に女傑と言ったイメージ。
特に、「ソフト定価を挙げたら売上が増えた」なんてエピソードは他のビジネスでも流用できそうなエピソードだ。

この辺りでコーエータイトルの定価がなぜ高いのかや、メーカー内でも強気の姿勢の源泉が窺い知れる。

またアンジェリークが切り開いた乙女ゲームも彼女の発案。
ゲーム市場は圧倒的に男性主導市場だ。そんな中で女性に向けたゲームを開発しようというのはなかなかの挑戦である。
その挑戦の理由について、「人類の半分は女性だから、適切な楽しさを提供すれば女性だってゲームをするはず」というある意味で信念のようなものに近い仮説からスタートしているというのが興味深い。
今でこそある程度確固たるブランドを築いているシリーズだがはじめから順調とは程遠く、女性メインの開発で構成したはいいが出産で退社が相次ぎ初代完成まで10年もの歳月が掛かったという。

かなり対照的な夫妻ではあるが共通して見えてくるものがある。
順風満帆という訳ではなく、それなりに失敗も多い。
それでも常に挑戦と行動を欠かさない波乱万丈なコーエーの歴史は読み応えがある。

トルネコ秘話もおすすめ

コーエー夫妻インタビューが面白かったので絞って紹介したが不思議のダンジョンの面白さについて開発者が語ったものも非常に面白いのでおすすめ。
こちらはビジネス要素は薄くゲームシステムの面白さに寄った内容。ゲーマーなら誰でも面白い内容だろう。

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