創業直後のUSJ
創業直後に行ったことがある。
どれも非常にお金の掛かっていそうな贅沢な作りのアトラクションばかりだった。
一つ一つは待ち時間が凄まじかったが、アトラクションの数は数えるほどしかなかった。実際には回りきれなかったが何となく全て回ったような気になってしまうくらいの設置数しかなかった。
そして正直に言ってしまえば2度目はないな、と思ったことを覚えている。
ゲームで例えると、1週目はそれなりに満足できる、リプレイ性のないRPGと言った印象だ。クリアしたらそこで終わりだ。最近主流のDLCや基本無料で課金を行なっていくスタイルとは真逆。
継続性がない、といえば分かりやすいだろう。
ユー・エス・ジェイ CMO森岡毅
そんなUSJでしだったが、2010年付近を境にまさにV字回復としか言いようがない目覚ましい成功を見せる。
CMを見ているだけの私でも明らかな攻め続ける姿勢は感じていた。
キャッチーで明確なコンセプトや積極的なアトラクションの増設により口コミで話題を聞く数が増えたのをよく覚えている。
印象的な転換点としてはハリーポッター「The wizarding World of Harry Potter」だったと感じていう。
そんなホグワーツ城施工までの道のりを焦点に、いかにマーケティングの観点からUSJの業績を復活させたかがマーケティング部本部長の視点により語られている本だ。
まずどんな分析を行い、問題を洗い出すのか。問題解決のために立てた戦略を実行するためにどんなアイディアを絞り出したのか。実例を交えながら平易な文章でかなり分かりやすく噛み砕いて書かれている。
実際のアトラクションという形で目に見えた実績があるので想像も実感もしやすい。
マーケティング用語も出てくるがあくまでも触りだけでしっかり解説しながら進むので、プロジェクトXやガイアの夜明けのなどの番組のようなエンタメ性がある。読み物として楽しめる。
ジェットコースターはなぜ後ろ向きに走ったのか?
表題のジェットコースターが後ろ向きに走る理由は、率直に言ってしまえば夢で見たアイディアだからであった。アイディアのヒントや閃くコツなどを本書に求めても肩透かしを食らうだろう。
だが成功の本質的な部分はそこには無いと思う。
問題を分析し、解決のための条件を洗い出すことをフレームワークといい、その枠の中でそれまでに培ってきたアイディアの種となるストックを総動員し、頭をひねっていくうちにアイディアの神が降りてくる。少しでも創作を行なったことがあれば誰でも共感を得られることだと思うがアイディアとはそういう“降りる”ものだと思う。
著者はアイディアの神を確率だと述べている。
神が降りる確率をいかに上げるかがマーケティングという学問の本質なのだろう。
フレームワークという概念やマーケティング的な考え方は日常生活でも応用ができそうな分野だと感じた。
著者は現在までに幾つかの本を出しており、後年に出した「USJを劇的に変えたたった1つの考え方も読書予定。
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