いや、ちょっと語弊がある。
マーケティングの入門としてはとてもいい本だと思う。
年代的には続きと言っていいだろうが、
とは打って変わって、就活生向けのマーケティング講習の側面が強くなっている。
就活生でなくともマーケティングの基礎的なマインドやフレームワーク思考法などが具体的に、かつ、どうして必要とされているかを順序立てて説明されている。
その部分はとてもよい。
社会人でも教養としては面白い。
だが役に立つかといえばまた別の話で、それは本書でも触れられていることだが、結局のところ用語や思考法を理解したとて、実践しなければ意味はない。スキルアップも望むべくもない。
なので1番いいのはマーケティングスキルを実践できる会社で働くべきだ、と述べられている。
ではどんな学生が採用されやすいか?
著者によると伸びる素養を持った学生を採用したいという。
ではどんな素養が必要なのか?
マーケティングは一人で何かを生み出すものではない。部署間での対外折衝や交渉は必然多い。だからコミュニケーション能力が重要で、そういった能力を持った人間が採用されやすいだろうとのこと。
コミュニケーション能力といっても当たり前のやりとりや意思疎通ができるだけではダメで要するに素質に帰する部分の能力のことを言っているわけだ。気質といってもいい。
詰まる所、本書は対外的なコミュニケーションに向いた素質を持つ人間にはマーケティングの分野に進んで欲しいという筆者からのラブコールである。サラリーマンが読む本ではないのだ。
このことが書かれているのは終盤の方でズルいオチの付け方だなというのが正直な感想。
そもそもこの本はそれなりにマーケティングに関心がある人間しか読まないだろう。その上適正がある学生のみに意義があるというとても狭いゾーンにしかマッチしない。結局のところ筆者のための本であるとしか思えない。
マーケティングの基礎的な思考法を学ぶなら他にも体型的に学べる本があるだろうし、なんだが情報商材系のアフェリエイトブログのような肩透かしを感じてしまった。
『USJのジェットコースターはなぜ後ろ向きに走ったのか?』はUSJ復活劇の読み物として楽しく読めたが、今回は筆者の独りよがりを見せられたという徒労感が残った。
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