webライティングこれ一冊で充分 〜沈黙のwebライティング

2020年10月28日水曜日

読書

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沈黙のWebライティング —Webマーケッター ボーンの激闘—

分厚さに圧倒されるが会話文形式のストーリーパートがページを稼いでいるので意外にあっさり読みきれる。

モチベーションを維持しながら読み進めやすいストーリーと、座学的なまとめコラムが交互に展開される構成。ストーリーパートで生まれる疑問やモチベーションをまとめで網羅的に解説する形のなっているので、座学が頭に入ってきやすい。

ライティングを請け負う会社の強みであるディレクション周りや、経験則を基にした知見やノウハウを具体例とともに紹介されており、かなり実践的。
よくあるライティング指南の「いっぱい文章を読みましょう」「ユーザーの気持ちになって書きましょう」レベルの根性論で終わっていないのが良いポイント。


タイトルのつけ方のテクニックや、cv(コンバージョン)×啓蒙×リンク獲得の組み合わせでページを設計するなど、具体例と共に専門的な会社としてのノウハウが詰まった解説が満載。

専門の会社らしくノウハウがよく詰まっているのが以下のあたり。
  • 感情フレーズの具体例10選
  • cv(コンバージョン)×啓蒙×リンク獲得の7つの組み合わせ
  • はてブのチェックを習慣づける
  • セルフディスカッション・セルフディベートを重ねて論理を深める
  • 外注ライターの選定手段
  • 外注フィードバックの添削例
  • 共感性を誘発する為の論理と手段
  • 脳の2種類のシステムを意識
わかりにくものを捕捉しておこう。

感情フレーズについては以下の通り。
自分化(共感)
「自分の身の周り」化(身の回りあるある)
意外性(情報の意外性と話者の意外性)
数字の魔力
網羅性
即効性(すぐ痩せる等)
代弁(怒りや言いにくい事)
結果例示(実績や数字で殴る)
危機感の煽り
行動提示(対策法や習慣など)
これらのフレーズを含めたタイトルをつけることでクリックしたくなるというわけだ。
本書では更に恩恵と機能を明示することが重要と述べている。
実際上記の例はどれもビジネスサイトやまとめサイトでよく見るものばかりだ。クリックしたくなるタイトルというものはおおよそ法則が決まっているのだ。


cv(コンバージョン)×啓蒙×リンク獲得
コンバージョンとは成約が取れるページの事。
啓蒙は知見を得られるページ。
リンク獲得はシェアされやすい・バズりやすい要素のことだ。
啓蒙により検索から誘導し、リンク獲得に強い内容であるとより露出が増えていく。
これらは同時に全てを満たさなければいけないわけではなく、ページの役割に応じて設計することが肝要だ。

はてブとははてなブックマーク。
はてなブックマークは最も影響力の強いブックマークサービスなので「ホッテントリ」と「新着」で話題性のチェックや傾向の分析に。

脳の2種類のシステムとはダニエル・カーネマン著「ファスト&スロー」で提唱される脳の働きである。
直感的なシステム1と深く思考するシステム2が存在し、それぞれに対応するアプローチにより分かりやすい、納得感のある文章になるというわけだ。
ここに関しては必要最低限の言及だったので実際に読んでみようと思う。


以上のように、実践的かつ情報量の多い内容であった。ライティングを始めてみたい初心者にはこの一冊でほぼ網羅的に知識が得られる。その先のステップの踏み方も考えられる内容になっているので良書と言えるだろう。逆説的に自分がライティングに向いているかどうかもある程度わかる内容になっている。

唯一の欠点は隆盛の激しい業界なので若干情報が古い事。(2016年刊行)
具体的に言えばキュレーションサイトの記述に関して既に潮目が変わってしまっている。アフェリエイトに関する内容も少し古い。
だが、大枠としてグーグルの方針に沿って良質なライティングを心がけることを謳っているので本質的にはズレていない。
逆に言えばキュレーションサイトが淘汰されつつある現状において本書の方針が正しいことが証明されているとも言える。
要するにユーザーにとって役に立つページ作りこそが最重要という当たり前の事実だ。

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