いわゆるゾンビもので、そして終末ものである。
突如パンデミックを引き起こした最近が多くの人類を歩く屍ならぬ歩くキノコ人間に変えてしまった。
崩壊から20年後。荒廃した世界で1人の少女を守り、旅をする。そんなゲームだ。
そこで描かれるアメリカの街が非常に印象的で、全て廃墟と化している。かつてのコンクリートジャングルは草木に侵食され、打ち捨てられたクルマは鉄屑と化している。
これはファンタジーの出来事だが、緑に取り込まれたビルや、戦時中に打ち捨てられたクルマの残骸は実際に世界にも存在する。
フランス、オラドゥール=シュル=グラヌという街は突如侵攻したナチスにより村ごと焼かれ、住民は虐殺された。戦争の悲劇を後世に伝えるため、この村はあえて、今でもそのまま放置されている。当時の車もそのままだ。
表紙にもなっているイタリア・ソレントのムリーニの谷は、かつて製粉所として1000年の歴史を持つ。谷底に建てられたこの工場は、19世紀に環境が変化により閉鎖された。高温多湿に変化した谷底はシダの生育に適していたことから緑に覆われてしまう。
どんな廃墟にも、廃れた理由があるのだ。
かつて人が住み、場合によっては大いに賑わい、そして何かの理由により去っていく。
詳細は伺い知ることはできないが、朽ち果てた風景にかつてあったドラマを自由に想いを馳せるのだ。それが楽しい。
確かにそこにあったという感覚。私が廃墟を好きな理由だ。
廃墟の写真集としては入門編に最適。
B5サイズでお手軽に世界の廃墟を知ることができる。廃墟になるまでの経緯も短いながらしっかり書かれているので様々な歴史エピソードを知れるし、興味が湧けばさらに深掘りもしやすいだろう。
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