序盤こそ見慣れない地名や種族名のオンパレードなので読み進めるペースはゆっくりだが内容や論理展開は明快で文章も読みやすい。
数多の文献が引用されているが、結局のところ文中にも書かれている通り、全ては明らかになっていないので1つの説や議論の定時にとどまっている箇所も少なくない様に思う。
神話という形をとった虚構を共有することによって大規模なコミュニティを気付くことが出来るようになったという印象的な書き出しから人類史を追う旅が始まる。
人によっては衝撃的な内容かも知れないが、日常や社会におけるちょっとした違和感や理不尽を感じている人ならばむしろしっくりくる所が多いのではないか。
虚構の共有という認知革命からスタートし、
上巻の主なトピックとしては
稲と小麦に使役され始めた史上最大の罠、農業革命
私たちを形作る神話の拡大
生物学的には依拠しないヒエラルキーや差別の信奉
情報を書記する事の発明
貨幣の発生
といった所だろうか。
人類史を軸足に、考古学、生物学、経済学、宗教、言語学...あらゆる所に跨って縦横無尽に人類種ホモ・サピエンスを解説していく本書は、いったいどんな本なのか。なんと説明すればいいか難しいが、読んでいくうちに様々な分野に無限に興味が湧いてくる。
そしてそれがダイレクトに自分という存在を理解することに繋がっていくという感覚はシンプルに面白い。生物として客観的に自信を見つめ直すことは決して無駄にはならないだろう。
勉強を楽しみたいと思った人にこそ読んでほしいと思える内容だ。
引用文献の中では特に「銃・病原菌・鉄」に興味を惹かれた。追って読んでいきたい。
引き続き下巻を読み進めていこう。
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