以前住んでいたところでは全く不満に感じることはなかったのだが、なにが違うのだろう。
そういう疑問から出発して、住みやすいまちと住みにくいまちの違いはどこで差がつくのか?どういう計画で街は作られているのか?を知りたくなった。
入門用の都市計画が学べそうな本を何冊も読んでみたがこの本がとりわけ分かり易かった。
まず都市計画の歴史から語り出さないのがいい。
この分野は様々な学問が複合的に関わっているようで、入門と銘打っておきながら話があらゆるところに飛び火する「あれもこれも」型の入門書が非常に多い。
法律も関わってくるので文面が非常に固いものが多くしんどいものが多かったが、本書は文章が非常に読みやすく、意図も明快で分かりやすい。
専門用語もその先の取っ掛かりになるものをしっかり提示してくれており助かった。
本旨としてはまず、都市開発のスプロール、つまり中途半端に活用されてしまい余計なコストがかかってしまう虫食い状態の土地を発生させないように規制することの重要さが挙げられる。
そして、来るべき高齢化社会において自動車に頼らない公共交通機関を活用した都市構造の仕組みを考えていく必要性が挙げられている。
そういった日本にマッチした都市構造を進めていく上で、根幹となるプランナーの仕事と求められる方針について解説してある。
課題は日本の都市について進んでいくが先行事例として住みやすい街の事例が世界中から例示されていて参考になるし、その街の事がより知りたくなる。
都市計画法などの法律、渋滞の構造、公共交通機関、環境問題、都市の景観、プランナーの業務、ありとあらゆる学問に派生していくジャンルであることを再認識した。
その中でも、本書で提示されていた、コロラド州デンバー都心やドイツ、カールスルーエ都心などトランジットモールを用いた歩車分離式の街はどう計画されたのかという点に興味が湧いた。
うまく住みやすい街がどういった計画のもと始まり運用されているのかというポイントを中心に更に深掘りしていきたい。
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