そもそも論文は基本的に英語である。
英語の勉強も並行してはいるが、論文自体にも読み方が存在する筈だ。というのも研究者は膨大な量の論文を読んだり参考文献として引用することが常なので、まず1〜10まで精読するのが一般的ではないと思っていたからだ。
本来ならば大学で論文の読み方も学ぶのが常道なのだろうが、自分にはそういった土壌がないので読書で学んでいこうと思う。
そこで、論文についての基本的な読み方を知りたくて、初心者向けとして名前の挙がっていた本書を読んでみた。
本書を一言でようやくするならば、医療従事者向けの論文の書き方入門書。
本書の核となるのが、アウトプット指向型シントピックリーディング。分かりやすく言うなら「書くために読む」という読み方。
例えば小説の場合、「読むために読む」ものだが、論文の場合、基本的に参考文献として読むものだ。だからアウトプットのために、何を読んで何を捨てればいいのかを、かなり具体的に書いてある。
文章が読みやすく、苦手意識のある読者に寄り添った思考なので非常に追いやすい。
逆に言うと、論文を書かない非医療従事者にとっては直接的にリーチする内容ではない。だが、アウトプットのために何が重要かと言うエッセンスは非常に役立つ。
興味深いのが、多読のすすめに近い内容が多く、言ってみれば医療従事者への多読の指南書ともいえう内容だ。
具体的な内容としては、PubMedを論文を探すことを念頭として、テーマに応じた必要な論文を集める→取捨選択→吟味という順で拾っていく方法が書いてある
具体的には以下の内容。
- 検索術
- スクリーニング、つまりふるい分けの仕方
- アブストラクトの読み方
後半はアウトプット、つまり論文を書くためにの工程。
必要な自分の仮説を成り立たせる為に、参考の論文の文章を抜き出して、切り貼りながら論文の骨格を組み立てていくところも解説されている。
ただここは論文を読みたいだけの人間にとってはいまいちピンとこないかもしれない。
少し残念だったのは英語とタイトルに銘打ってある割には英語の抜き出しかたについての解説が薄かったこと。
論文の読み方の4つの核と謳っている
- 既知well-known
- 未知unkown
- 争点controversial
- 定番英語表現
についての抜き出し方、読み取り方の掘り下げが薄かった点。
実際的なアブストラクトの読み方については、著者の別冊
「医学統計英語」わかりません!!
の方にしっかり書いてあるのでこちらを読んだ方がいいだろう。2冊とも読んで初心者がやっと論文を読む準備が整う内容だという印象だ。
医学統計英語〜については既に読んだのでまた取りあげる予定だ。
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