都市計画における道路の建設の基準や方針について知りたくなり、追っていくうちに渋滞学という分野があるのを知った。
渋滞学という聞きなれない単語であるが内容的にはなんとなく想像はつく読者も多いだろう。
題材も車に始まり、人の行列、インターネット、飛行機、火災やウィルス感染などの生活に関わりのあるものが中心だ。これらの渋滞はなぜ起きるのか、渋滞が起きる条件は何なのかという単純な問いをASEPという手法を用いて、問題をシンプルなモデル化して考察していく。その思考をエッセイ風に綴っているので思考の軌跡を追いやすく共感しやすい語り口となっている。
ASEPはセルオートマトン法と呼ばれる課題をモデル化する為の1手法である。メインの章とは別に専門的な講義ページもあり、この手法についての基礎的なことも理解できる内容になっている。
興味深かったのが火災や病原菌と言った概念に対しても渋滞学の適用を試みている点。
通常は渋滞は起こってほしくないモノだが、火災や病原菌における渋滞とは力が伝わりきらない事だと捉えて、渋滞を起こすにはどういう密度で木や人が配置されていれば良いのかというアプローチで解説されている。
本書の設定したモデルによると火災は60%を切る植林密度だと止まるという。もちろん設定したモデルの条件によって値は状況によって変動するだろうが、渋滞からの考察が森林火災を止めるガイドになるとは面白い。
ネットワークの概念における将来の展望も今の時代にはより深刻度を増していると言え、渋滞学の発展を更に追ってみたくなった。
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